第7章 廓の中$
京極屋の善逸
なんか俺、自分を見失ってた。
俺は宇髄さんの奥さんの"雛鶴"さんを探すんだったよ。
三味線と琴の腕を上げたってどうしようもないだろうよ。
でもなぁ、どうしよ。
ずっと聞き耳立ててんだけど、雛鶴さんの情報ないぞ。
「おなかすいたわ」
「帯がないのよ」
「髪結いさん来た?」
「早くしなよ」
「ひっくひっく、ぐすん」
ひっくひっくぐすん!?
「一大事だ。女の子が泣いてる」
「ひっくひっく」
ぐすん。
荒れ果てた部屋に目を剥く善子。
「ちょっ…めちゃくちゃなんだけど、どうしたのこの部屋。えっ、けんっ、喧嘩!?喧嘩した!?大丈夫!?」
わっ。
禿(かむろ)の女の子が泣きじゃくる。
「ごめん!ごめんね!君を怒ったわけじゃ…ないのよ!!ごめんね。何か困ってるなら…」