第51章 里帰り$
「白藤…」
「大丈夫です、一緒に行きます。ただ日中の移動は私…」
「大丈夫だ、俺が背負う」
「そんな!」
「狭霧山まではどうやっても日を跨ぐ。それにお前を担いだくらいでは負担のうちに入らない」
「ですが…」
「それに、もう一つ」
「もう一つ、ですか?」
「あの場所には俺の朋友(とも)が眠っている」
「この前お話されていた、錆兎様でしたか?」
「あぁ。沢山話す、知ってもらいたい。お前の事を知れたように」
「……ありがとうございます」
$$$
「わぁ…」
他里に来ること自体、何年ぶりだろう。
狭霧山が近くなるほどに緑が多くなっていく。
「白藤、大丈夫か?」