第49章 薄氷$
ビュウッ、ザンッ。
屋外で稽古する分、音が響く。
「今のは風の呼吸、ですかね?」
特段、話し相手もいないのだが、口に出して見る。
寂しい訳でもないが、心もとない気がして…
ふぅと一つため息をつくと。
「どォした?」
「ここにいる意味があるのかなと…って、不死川様。いつからそこに?」
「つい、さっきだァ。お前の姿が見えなかったから様子見に来た…」
「それは、すみません…」
「どっか、悪ィのか?」
「いいえ……」
「やっぱ、冨岡んとこじゃ駄目だ」
「不死川様?」
「俺んとこ来い、不自由はさせねェから…」
「………本当に、今代の方々は…」
「お、おい、泣くなよ!」
「すみません…私…」
「まぁ、いいけどよォ…おら、来いよ。泣ける時は泣いとけ…」
問答無用で引き込まれた腕の中は思っていたより心地よくて、鼓動の音を聴きながら、少しして微睡むように眠りについた。