第45章 里帰り$
白藤の挨拶にピタリと動きを止める冨岡。
「どうかしましたか?冨岡さん」
「………何でもない」
どうかされたのかしら?
白藤には思い当たる節がない。
当たり前だ。
これは、彼の嫉妬なのだから。
ただ、本人にその自覚が無いのが、問題なのである。
「?」
疑問符を浮かべる白藤を尻目に、鱗滝は冨岡に問う。
「義勇。もしやとは思うが、お前の言っていた相手は藤姫殿か?」
「はい。そうです」
きっぱりと答えた冨岡に対して、白藤は顔を覆う。
愛されている自覚すると、顔から火が出そうになる。
「………そうか。藤姫殿、お早く中へ入られよ」
「はい、では失礼致します」
鱗滝に頭を下げ、白藤が一足先に屋内に入る。
「義勇、少し良いか?」
「?」