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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第6章 藤に詩へば$(無惨裏)


母もそうだった。


私の看病の無理がたたって倒れ、そのまま。
父は、母が身罷(みまか)られてから、めっきり顔を見せなくなった。

私の先行きが読めないからだろう。
このままでは出世が望めないからだろう。

もうここ数年、父とは顔を合わせて居ない。



だが、こんな時。

誰かを頼るのであれば……




父に使いを出そうと、舞山が踵を返した時、白藤が彼の着物の裾を掴んだ。




「お兄様、私…変なんです。体が熱くてしかたがないのです」



触れただけで震える体に上気した頬。



聞いたことがある。

女人に逢瀬を重ねる時に焚き染めると、ほろ酔う香があることを。


人はそれを媚薬と呼ぶ。


白藤の症状は聞き及んでいた媚薬の効果そのもの。
屋敷では香は焚いていないし、思い当たる節もない。


では、誰かから飲まされたのか。
媚薬には液体や粉末もあると聞く。

私のモノに手を出すとはいい度胸だ。
誰であろうと赦しはしない。



「お兄様…」

「可哀想に。今、楽にしてやろう」

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