第6章 藤に詩へば$(無惨裏)
時がない。
今、こうしている間にも刻々と私には死が近付いてきている。
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三日後。
病のせいで今日もお兄様は床に伏せっている。
私は粥を用意したり、お兄様の額の手拭いを変えたり、体を拭いて差し上げる。
こうして、お兄様の側にいられる。
それだけで、私は幸せ者だ。
ドクン。
何故だろう。
先程、薬師から渡された薬を飲んでから不自然に鼓動が跳ねる。
体の奥底が熱い。
その熱はジワジワと全身に広がっていく。
まだ、倒れてはいけない。
お兄様の前では絶対に。
ドクン。
意識が、遠退く…
どさ。
「白藤?どうした?」
白藤が倒れた。
こんなこと、一度もなかった。
白藤の体が熱い。
私が無理をさせたせいだ。
舞山は歯噛みした。
自身の無力さに。