第44章 薄氷$
「不死川って、もしかして風柱の事!?」
「あぁ、そういえばいらしてましたね。隣で召し上がっていらしたのでしょうか?」
「いつだ?」
「えっと、お昼過ぎですね」
うーん、と頭を捻る白藤。
「何かしてこなかったか?」
以前に隊服の隙間から体を触られていたのが、記憶に新しい冨岡は少し心配になった。
「別に何もされていませんよ…私も寝てしまいましたし…」
「何?」
「半刻ほど、うたた寝を…」
「不死川の居る前で、か?」
俺ではない男の前で無防備に寝ていたという事実に冨岡は驚きつつも、何やらモヤモヤとした感情が胸中に渦巻き始めたのを自覚する。
「あ、はい。……冨岡さん?」
「………」
それきり無言で膳を運びに行ってしまった。