第44章 薄氷$
つんつんと善逸が炭治郎の肩をつつく。
「炭治郎、もしかしたら……もしかするかもよ?」
「ん?」
炭治郎は気付いていないようだが、弱みに付け入るなら今だと善逸の直感は働いていた。
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夕食後。
「後片付けはやっておきますので、冨岡さんはお部屋に…冨岡さん?」
「たのか…?」
「はい?」
「本当に何もなかったのか?」
彼の目には珍しく、不安の色が見えていた。
「冨岡さ…」
「本当は炭治郎の時の様に……」
抱かれたのではないか?とは聞けなかった。
言えば、彼女が離れていってしまいそうで、けれども何故か腹立たしくて……
だんっ!
冨岡に壁に追い詰められた。
「白藤……」
「何も…されては、いません…」
「………」
「信じては…頂け、ませんか…?」
結局、冨岡は何も言わないまま、私室へ戻って行った。