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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第43章 失意の夜$


ぽつり、ぽつりと白藤が語り出すのを冨岡は静かに聞いている。



「御館様は私を本部に留め置き、空き部屋に磔で拘束されていました…少しでも呪いを薄めて、生き長らえたかったのでしょう…」

「磔?」



思い出すと吐きそうになる。

麝香の香りと閉めきられた窓。



灯篭からの弱い灯りの中で繰り返される睦言。



「人と違い、私は鬼ですから…傷はすぐに癒えます。ただ記憶は消えません。頸を斬られる以外、鬼にとっての終わりはありませんから…」

「っ……」

「そんな顔なさらないで下さい…もう過ぎたことです…私が本部に行くのは御館様に施術をするためと、今お話した記憶を御館様に封じて頂くためです…」

「つまり、術の効果が薄れたと?」

「えぇ、恐らく御館様の御命も、長くは無いでしょう…」



風前の灯火か。



「今日はゆっくり休め…」

「あの…」



離れようとする冨岡の袖を掴む。



「一緒に寝ても…良いですか…?」



上目遣いに冨岡を見つめる。


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