第43章 失意の夜$
鏡台の前に移動し、白藤が紅をさす。
「……似合い、ますか?」
桜色の紅をさした白藤が艶やかしい。
「よく…似合っている…///」
何故か気恥しくて、直視出来ない程に。
「冨岡さん…すみません。素敵な贈り物をありがとうございます」
未だに震える彼女の手を取り、冨岡は改めて問う。
「で、さっきのは…」
「少し昔を思い出しまして…」
「昔?」
冨岡は怪訝(けげん)そうな表情を浮かべる。
「私は始まりの呼吸の剣士の頃から鬼殺隊にお世話になっていまして…今から三代くらい前になりますか……御館様に私は囲われていたのです…」
「御館様に?」
「その代の御館様はひどく臆病なお方で…柱の方が…重傷にならない限り、私を外へ出そうとはしませんでした…」
当時の鬼殺隊も今より閉鎖的な雰囲気だった。