第37章 二人
「蔦子姉さん。俺にも、大事な人が出来たんだ」
「え?そんな…///」
手を引かれ、墓前に立つ。
「彼女は白藤。今一緒に暮らしてる」
「……初めまして、白藤と申します。長らく藤の花の屋敷にて、柱の方々を慰問する任を担っています」
恭しく一礼すると一拍あけて、白藤が語りかけるように墓前に声をかける。
「……私には何もありませんでした。家族も、産まれた時の記憶も……藤の花の屋敷ですら私を煙たがって……それを近代の御館様と冨岡さんが変えて下さいました。私に沢山のものを与えて下さいました……でも、私は……鬼です」
冨岡さんの隣はとても居心地がよくて、だから甘えてしまう。
寄りかかってしまう。
「白藤?」