第36章 色欲に溺れて$ (宇髄&冨岡裏)
ちょっと出てきますと言ってしばらく経ったが、白藤が戻って来ない。
行き先も聞いていなかった為、とりあえず外には出てきたものの行く宛がない。
はて、どうしたものか。
つらつらと考えながら歩いていて行き着いたのは煉獄の屋敷。
彼ならば何か知っているかもしれないという言わばダメ元の賭けだったのだが、今さっきまで白藤が居たのを聞き、少し安心した。
柱の中でも煉獄と胡蝶の二人は冨岡にも話しかけてくれる貴重な存在だからだ。
とはいえ、実の所、白藤に愛想をつかれたのかと思った。
俺は感情表現が苦手で、あまり他者と会話をしないから。
白藤が何かを不安がっていたのかもしれないと、今になって思い立ったのだ。
煉獄から白藤が次は宇髄の屋敷に行くと言っていた旨を聞き、夜闇を駆ける。