第34章 今夜はお気の済むまま$ 冨岡夢
「あら、白藤さん。冨岡さんのせいで泣いてるんですか?」
「泣いてないです…」
寧ろ、私は貴方が怖いです。
「おい、何でここに白藤が居るんだァ?」
「不死川様まで…」
だんだん騒ぎが大きくなっていく。
「とりあえず、帰るぞ。白藤」
「え?」
「待って下さい、冨岡さん。貴方が帰るのは勝手ですが、何故白藤さんも連れていこうとするんです?」
「…………」
もっともな意見である。
白藤は鬼だ。
半人半鬼とはいえ、彼女は鬼殺隊にとって大事な回復要員であり、彼女の所有は藤の花の屋敷が担うという掟が存在するのだから。
「何とか仰ったらどうですか?」
「あの…」
「別に、お前たちには関係ない。コイツを俺の屋敷に置くことは御館様も承知済みだ」
「はァ?おい、冨岡。今何つったァ?」
みるみる内に不死川の機嫌が悪くなっていく。