第32章 しおり100拍手200御礼 今夜はお気の済むまま$
「………私も冨岡さんに会えて良かったです」
「どうした?」
「聞いても良いですか?」
「何だ?」
「どうして、私と一緒に暮らそうと思ったんですか?」
「お前と一緒に居ると心が安らぐ。それと、またお前が作る料理が食べたい」
「料理……それって、鮭大根ですか?」
「琴も聞きたい」
「ああ、遊郭の時に弾いた曲ですか?」
「他も聞いてみたい」
「いざとなると…ああ、『待宵月』なら…」
シャララン、シャララン。
目を閉じ、白藤が奏でる音に集中する。
「………」
シャン。
「冨岡さん、貴方は居なくならないでくれますか?」
「どういう意味だ?」