第32章 半天狗の最後
「何で、私なんか助けるんですか…」
宇髄様一人なら絶対上手く立ち回ったハズだ。
それが、こんなにも重症を負ったのは、私のせいだ。
「好いた女が泣いてりゃあ、助けんのが男の性ってもんだろ?」
どう見ても、重症な男がキザな台詞を口にする。
宇髄天元という男は元来こういう人種だ。
「お前が自分のことどう思っててもなぁ。俺らにはお前が必要なんだよ」
「……絶対治しますから…もう、無茶しないで下さい」
「はは、頼むわ……」
ガウン!
宇髄の腕を噛んでいた竜を玄弥が銃で退ける。
「不死川弟。ちょっとだけ、白藤のこと見ててくれ」
とりあえずの応急措置で左腕に宇髄が携帯していた包帯を巻いて止血する。
不治露を使用出来る体力は残っていない。
早く治療しなくては……