第31章 痣の出現
「時透さん、良かった。出られたんですね」
子鉄少年が涙を浮かべながら、喜ぶ。
「凄い…」
さすがは柱だ。
「ぎゅきぃぃっ!!」
ズバッ。
時透の一閃で本体の壺が割れ、金魚の鬼が姿を保てなくなる。
ボロリと体が崩れると、すぐさま灰になって消えた。
「時透さん、お願いです。あの壺の鬼をあばら屋に近付けないで。今、鋼鐵塚さんが刀を研磨してるんです」
子鉄少年のお願いに耳を傾けつつ、周囲の気配を探る。
「そう。煉獄さんがいるから心配はないだろうけど…」
この針…やはり毒が…
「時透さん、とりあえず応急処置だけしましょう?」
「白藤さん…」
ギュッ。
傷が深い場所の止血と、子鉄少年があばら屋から持ってきた酒で傷口を消毒する。
「ありがとう」