第30章 半天狗の最後
「分かりましたから、ちゃんと仕事して下さい!」
宇髄が戦線に戻るのを見送って、玄弥の元へ。
「玄弥君…」
「白藤さん…」
「もう、大丈夫。血鬼術・不治露」
玄弥の傷が塞がるのを見守って移動しようとするも、足が縺れる。
「おい、アンタ大丈夫か?」
さすがに不治露を連発し過ぎた。
近くにあった木に手を付くと、メキメキと音を立てて体に巻き付いてきた。
「手を!!」
懸命に伸ばすが、あと少し届かない。
バキバキバキ!
煉獄の技だろうか?
木が瞬く間に燃えていく。
火の手が回る。
身を固くして目を瞑る。
バリッ。
玄弥が木の竜に歯を立て喰い破る。
「何してる、逃げるぞ!」
手を引かれ、木から降りる。