第30章 半天狗の最後
「勝った!!凄い!!スゴい!!スゴいよ、時透さん!!」
子鉄少年が時透の手を握り、はしゃぐ。
「ありがとうございます。お二人共…」
鉄穴森が二人を労う。
「時透様、杏寿郎様。お疲れ様でした」
少し遅れて、白藤が声をかけると煉獄にああと歯切れの悪い返事をかけられた。
「……?」
スッ。
「藤姫殿、とりあえずこれを着てくれ」
手渡されたのは煉獄がいつも身に纏っている羽織で。
「え?でも…」
「素直に受け取ったら?今の君、目のやり場に困るから」
言われてから改めて自分の格好を見れば、鉄穴森から借りた羽織は前結びもので、襟元から乳房がチラリと覗き、あまつさえ半纏丈で少し屈めばお尻が見えそうな状態だった。