第29章 痣の出現
息が詰まる。
何て威圧感だ。
「何ぞ?儂のすることに不満でもあるのか。のう、悪人共めら」
重い。
声が、威圧が。
手足に力が入らなくなる。
「どうして、どうして俺たちが悪人…なんだ?」
「『弱き者』をいたぶるからよ。のう。先程貴様らは手のひらに乗るような『小さく弱き者』を斬ろうとした。何という極悪非道。これはもう鬼畜の所業だ」
「小さく弱き者?誰が…誰がだ。ふざけるな。お前たちのこの匂い…血の匂い!!喰った人間の数は百や二百じゃないだろう!!」
チャキ。
炭治郎が刀を構え直す。
「その人たちがお前に何をした?その全員が、命をもって償わなければならないことをしたのか!?大勢の人を殺して喰っておいて被害者ぶるのはやめろ!!捻じ曲がった性根だ。絶対に許さない。悪鬼め…!!お前の頸は俺が斬る!!」