第29章 痣の出現
まるで雷神を模したかのような背中の鼓には『憎』の文字。
体の大きさは幾分か小さくなったものの気配が桁違いだ。
それに何より若返っている。
見た目は子供のようだ。
「は?」
何だ、今の?
宇髄は思考をフル回転させた。
アイツ、さっきまで違う鬼だったハズだ。
怒り鬼。
それが瞬き一度の間に姿を変えた。
怒り鬼が両手を掲げて喜の鬼と楽の鬼を引き寄せ、取り込んだ。
最後に哀の鬼を手の内に吸収した途端、今の姿になった。
元忍びの俺ですら目で追うのがやっとだった。
他の奴らはきっと、どうしてアイツが出てきたか分かっていないはず。
どんな能力だ。
俺がコイツらを指揮しなきゃならねぇ。見極めろ。
誰よりも速く、アイツの間合いの内側に入り込んで、一撃喰らわせる。
「シィィー、音の呼吸・壱ノ型 轟!!」
ドォン!!
双剣を憎伯天に叩き込む。