第4章 遊郭潜入大作戦$(冨岡裏)
チャリン。
女将の前に金貨が五枚転がる。
「じゃあ、それで足りるか?」
「冨岡さん……」
一瞬、動きを止めた女将が、すかさず、金貨を拾い集める。
「そりゃあもう。ほら、さっさと支度しな。こんな上客めったに来やしないよ!お客さん、楽しんでって下さいまし!」
パシン。
勢いよく扉が閉まり、女将が出ていってから……
「料金を頂いたからには、私も仕事を致しますが…本当に良かったのですか……?」
「何がだ?」
この感じだと冨岡はここがただの宿に見えているのではないだろうか。
「冨岡さん、遊郭が普通の宿屋ではないことはお分かりですよね?」
「ああ、確かに。女中が多いな」
「そうではなく…」
ふざけているのか、真面目なのか。
「遊郭では女中ではなく、女郎です。それと、遊郭では女郎がお客と床を共にするのです。ここまで言ったらお分かりですか?」