第4章 遊郭潜入大作戦$
流麗な琴の音に冨岡のみならず、店全体がシンと静まり、その音色に耳をそばだてる。
演奏が終わると店はまた賑わいを取り戻した。
「いい音色だった」
「ふふ。ありがとうございます」
スパン。
女将が急に部屋の戸を開けた。
「え?」
「お客さん、すまないがこの子次の指名が入っちゃって。初見世なんだ。順繰り回んな」
「ですが、女将さん…」
「嬉しいじゃないか。この辺りを取り仕切ってる大旦那がさっきの演奏聞いてアンタの酌で飲みたいってさ。初床(はつとこ)の指名も一緒にね」
「初床?」
「やだねえ、お客さん。遊郭といやぁ客取りしてなんぼだよ?この子は上玉だからね金貨二枚は取らなきゃ…」