第21章 芸術作品$
ブワッ。
しまった。
白藤が可楽の葉団扇で彼方へ飛ばされる。
その行く手を可楽が追う。
かなり、飛ばされた。
どうしよう。
受け身をとれない。
タッ。
ぎゅっ。
温かい。
「無事か?藤姫殿!」
「杏寿郎様!?何故此方に…」
「うむ。任務に向かう途中、鴉から里が襲撃されたと聞いて、舞い戻ったところだ。間に合って良かった」
「杏寿郎様、私の近くにいてはなりません。今、鬼が…」
「大丈夫だ。俺たちは鬼を狩るのが仕事だからな」
何か今キュンとした。
やだ、甘露寺様じゃなしに…
「杏寿郎様、来ます!!」
「そんな顔をするな。大丈夫だ、藤姫殿は俺が守る!!」