第20章 終ぞ、願いは叶わずとも$(継国巌勝裏夢)
白藤は静かに巌勝の話に耳を傾ける。
そう、そんな日々が続いていた。
いつしか、それが日課になっていた。
隊士の中にはお前たちは熟年夫婦かという者たちもいたが、二人は気にする風でもなく。
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藤の花の屋敷、客間にて。
ただ、一度だけ。
「済まないな」
「何がですか?」
「私なんかと噂になって」
「気にしてらしたんですか?」
巌勝が頭を下げたので、白藤はわたわたしてしまう。
「お前が迷惑だろう。ただでさえ、最近私としか情交も交わしていない……」
「私はそれで事足ります」
「しかし…」
私は性を喰らう鬼だ。
「私は巌勝様が言うような立派な人間ではありませんし…」
「私はお前が不憫でならない…」