第19章 馳(は)せる
森の中ほどで子鉄を見つけた時には人形は見るも無惨な姿になっていた。
「………」
ゴロゴロ。
ザアアア。
雷鳴に、急に振りだした雨。
「子鉄君。確認しよう。まだ動くかどうか」
炭治郎と二人で螺子を回す。
こんなに壊れてしまって……
でも、自分にはまだ治せる技術が伴っていなくて……
子鉄は悔しくて、涙を堪えながら、震える手で絡繰人形の背を撫でた。
「……動かない…やっぱりもう……」
諦めかけた時、絡繰人形が再び動き始めた。
ギュルル、ギッ、ジャキン。
以前のような滑らかな動きでは無いけれど。
それでも、動いた。
「やった!!動いたね、子鉄君!!良かった…」
安心した炭治郎は子鉄に笑顔を向けるが。
「……そうですね。炭治郎さん、これで修行して、あの澄ました顔の糞ガキよりも絶対に強くなってくださいね……!!全力で協力しますので…!!」
え、今からかな?
こうして、炭治郎の地獄の特訓が幕を開けたのだった。