第19章 馳(は)せる
$$$
バキャッ。
不穏な音に子鉄が振り返る。
元より破損部分がまた広がっている。
それよりも衝撃だったのは。
「えっ?終わったんですか!?」
「終わった…いい修行になったよ。誰だっけ……あ、そうそう。俺の刀折れちゃったからこの刀貰って行くね」
スタスタとそれこそ何事も無かったかのような顔で時透が差し出した刀には人形の腕がそのまま付いていた。
「…!!」
「子鉄君!!」
子鉄はそれを見ていられなくて、駆け出して行ってしまった。
「それ、処分しといて」
時透が炭治郎に刀を投げつける。
悪意の匂いはしない。
わざとやってるわけじゃないんだろうけど。
炭治郎は、ギュッと拳を握りしめた。
「俺が処分しとくわ。行ってやれ」
俺の意図を察してか、玄弥が俺の代わりに折れた刀を受け取ってくれた。
「玄弥、ありがとう!」
子鉄君を見つけなきゃ。
炭治郎は子鉄を探し出すべく、森の中へと突き進んでいく。