第18章 50,000PV御礼小説 終ぞ、願いは叶わずとも$
藤の花屋敷中庭にて
「巌勝様」
「何だ、白藤」
「巌勝様が心ここに在らずといった風情でしたので」
「……お前はよく私に気が付くな」
「私は…」
私自身の考えではなく、縁壱様の助言なのだが。
「少し、昔を思い出していたんだ…」
「昔、ですか?」
「あぁ、まだ縁壱と一緒に暮らしていた時の事だ」
「そう言えば、お二人はご兄弟でしたね」
「ああ、私が出来損ないの兄だ」
「そんな…」
「アイツはいつも母にくっついていて、私はそれをただ甘えているだけだと思っていた」