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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第17章 馳(は)せる


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落ち着かない。

縁壱様、巌勝様…

私を抱き締めてくれる大きな手を今でも覚えている。

継国巌勝様、当時懇意にしていた始まりの呼吸の剣士縁壱様の兄君。

あの当時は本当にできることが少なくて。

そう言えば、巌勝様が居なくなる前にも着物を仕立て直した事があった。

今となっては遠い昔。
でも私だけは知っている。

痣者が死んでいった過去。
かの人はいつも一人だった。

「……巌勝…様」

こういう時、泣けば良いのだろう。
でも、私に泣く価値はない。

あの日、あの人の側に居られなかった私には。

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