第80章 家族の形$ 其の二
「………済まねぇ、その…」
「いいんです……」
「違うんだ、俺……今日はずっとおかしくて……里の野郎共からだって病気じゃねぇかって言われるくらい…俺は何でかお前の……しのぶの事を、考えると……どうしようもなくなっちまうんだ……」
「……え?」
「俺は、どうやら本格的に……お前に惚れたみたいだ」
何故だか季節外れの桜が見えた気がする。
『大切な人に、どこで巡り逢うかは誰にも分からないものよ?』
目の前で羽ばたいた蝶の羽ばたきに姉の声が重なった気がしたのは、私の思い込みかもしれないけれど。
目の前の青年が、彼の言葉が、私の心を動かしたのも事実で……
「私は、まだ何も……分からなくて……でも、蛍さんの気持ちが、とても嬉しくて……」
心の片隅にあった小さな穴に花が咲いた様な、そんな温かな感覚に……
涙が溢れた。