第80章 家族の形$ 其の二
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「こんばんは」
「はい、よくいらっしゃいまし……白藤様?」
幻でも見たかのように立ち竦む女将を前にして、白藤は以前のように、にこやかに微笑む。
「お久しぶりです、女将」
「まぁ〜、本当にお久しゅうございます。……今夜はお二人、いや三人……はぁー、これが噂の坊ちゃん!!」
冨岡と白藤を交互に見ながら、腕に抱えられた勇輝哉を見て女将が嬉しそうに笑みを浮かべる。
「一人で忙しいな」
「相変わらずね、女将」
「お泊まりなら、屋敷総出でおもてなし致しますよ!」
「ありがとう。一泊のつもりなのだけど、宴会は無しで、それと……」
白藤がぽそりと女将の耳元で囁く。
事情を了承した女将がにんまりと笑い、冨岡を見て会釈する。
「白藤様も冨岡様も、お帰りなさいませ」
「「ただいま」」