第80章 家族の形$ 其の二
「白藤の物はあまり持たないのか?」
「最近は旅館の様な位置取りになったと聞きますし、女性物の浴衣はあちらにもありますから。それに……」
「それに?」
「いいえ、何でも……///」
藤の屋敷の着物の方が当時を思い出して、情熱的な夜を過ごせそうなんて……
ちょっとだけ思ってしまったりとか……
「白藤?」
「勇輝哉の着替えも用意しましたから、そろそろ参りましょうか」
「………そうだな」
少し間を置いてから、風呂敷を二つ掴み、行くぞと一言。
最寄りの藤の屋敷まで、半刻程かかる距離。
こうやって連れ立って歩くのですら久しぶりなのだ。