第3章 藤の花屋敷の鬼女$(冨岡裏)
「さすがは宇髄様。人の顔を覚えるのがお得意ですね。何かご用ですか?」
何か品定めをするかのような視線を宇髄から向けられているのを感じられる。
「ちょっと待ったぁ!!今度はそちらの女性を毒牙にかけるつもりですか!!」
炭治郎のあらぬ誤解も解いた方が良いだろう。
「下ろして差し上げた方がよろしいかと」
アオイ、なほ返還。
「任務で女の隊員が必要なんだよ」
「任務ですか」
あの態度は強引でしかないが、女性隊士は数少ない。
宇髄が蝶屋敷に来たのは道理に叶っているだろう。
「なあ、白藤。お前生娘じゃねえよな?」
「女性に何てこと聞いてるんですか、あなたは!!」
炭治郎が毎回声を荒らげて怒鳴るので、こちらも少々からかい口調で宇髄に返事を返す。
「宇髄様のいけず。そんなのとっくにご存知でしょうに」
そんな心情を知ってか知らずか、宇髄は豪快に笑う。
「はっはっ。気に入った。お前にするわ」