第3章 藤の花屋敷の鬼女$(冨岡裏)
「放してください。私はっ…この子はっ…」
真っ青な顔をした少女。
確かアオイと言ったか?
もう片方の腕に抱えられている少女に手を伸ばしている。
「うるせぇな、黙っとけ」
あの逞しい体躯は間違いない。
先日、閨を共にした宇髄天元に違いない。
「やめてくださぁい」
「はなしてください~~」
蝶屋敷の三人娘まで、騒ぎ出すとは一体どういった事態だろうか?
「カッ、カナヲ!!」
アオイの悲鳴に近い嘆願に。
がしっ。
カナヲが意を決し、宇髄の服を引っ張る。
「地味に引っ張るんじゃねぇよ」
「女の子に何してるんだ!!手を放せ!!」
あの子は確か、新人隊員の竈門炭治郎君。
「人さらいです~~っ、助けてくださぁい」
「この馬鹿ガキ共…」
このままではどこまでいっても収集がつかないのでは?
「宇髄様、幼子に興味がお有りで?」
不粋かとも思ったが、とりあえず事情を聞いてみようと思い、その場に割って入る事にしたのだ。
「お前。確か、白藤だったな」