第77章 契りて繋がる縁たち$(冨岡裏)
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「白藤様。一度こちらへ」
「ひさ。ありがとう」
「何を仰いますか。白藤様はひさにとっても大事なお方ですよ」
浴場で身を清めるのをひさに手伝ってもらう。
ひさが奉公に来たのは10歳からだった。
白藤が世話を焼いていた時期もあった位だ、懐かしい。
「昨夜はお楽しみになられたようで」
「え?母屋まで聞こえて……?」
確かに、ひさの部屋は母屋の一番端だけれども……?
「年寄りは耳ざといものですよ」
「耳が遠くなるんじゃなかったかしら…?」
「これだけお花が咲かれておいでなので」
「あぁー……///」
鬱血痕で気付かれた訳なのね……
本気で焦ったわ。
「そういえば、ひさの家族は?」
「祝言に参加するのは私めと勘定方の佐助。後は最近こちらに来た孫娘の幸くらいですね」
「そう。お孫さんがいらっしゃるのね」
「ひさは嬉しゅうございます。白藤様のこんなに幸せそうな顔が見られて」
「……ひさ。今までありがとう」
「勿体のう、ございます」