第77章 契りて繋がる縁たち$(冨岡裏)
白藤がぼろぼろと泣き出してしまい、冨岡が慌てて肩を抱く。
「すまない。俺は何か……」
「違うんです、義勇さん……貴方で、良かった……」
魅影は白藤の周りを気遣わしげに飛んだ後、窓の外へ羽ばたいて行った。
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魅影は鴉よりも膂力があるのを見越して白藤に蝶屋敷と刀鍛冶の里へ向かうように指示をしていた。
蝶屋敷へ向かった魅影は教えられずとも、しのぶの私室へ文を届けて、しのぶから褒美と称して餌を貰う。
どうやら何度か行き来していたらしい。
白藤からの文には祝言の前に妊娠をしていないか確認したいと書かれており、胡蝶はしばらく唸っていた。
というのも、今鬼殺隊は決戦が終わったこともあり、妊娠の報告が立て続けに入っているからである。
「妊娠、か……」
喜ばしいのは理解出来る。
新しい家族が増えることを喜ぶ者が多い世の中だから。
胡蝶とて年頃の女性である。
好いた男の子を宿したいと思ってもおかしくは無いのである。
……彼の事を、好いていたのか自覚は無い。
ただ、彼と白藤が親しくなるにつれ、私の心は冷えていった。