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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第79章 咲くは朱なれど散るは白


術士も呪詛師も存在しない世で生きる事など……


それはまるで、方術師である自らの存在を否定する生き方だ。


そんなことは出来ない。


何年も何年も鍛錬して、菅生(すごう)の郷から出てきたのだ。


里長になることも、婚約者も全て里へ置いて、それでも京へとやって来た。


都も帝も神々も、全てが御座(おわ)す京の都で俺は皆に認めてもらいたかったのだ。


安倍晴明、お前のように。


晴明と同じ事が出来ぬなら、反対の依頼を進んで受けた。


あの男に勝って、私が随一だと示したかった。


だが、その夢もあっけなく終わりを告げた。


安倍晴明は自身の孫を守るために残りの寿命をかけて術を行使し、その後死に至った。


結局、俺はあの男に一度も勝てなかった。


晴明亡き後の世の中は酷く退屈で、全てが灰色に染まっていた。


あの時までは……


鬼舞辻無惨を作りあげた時、私の胸は高鳴った。


なんという完璧な存在だろう。


十二神将の主はもう居ない。


ならば、刃向かうものなど恐るるに足らない。


そうして、鬼は増えていった。

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