第75章 君と二人で永遠(とわ)に眠るる
「……義勇、さん?」
「……白藤。起きるのが、遅いぞ……俺はもうこんな……」
「義勇さん……痣者なのに、長生きしましたね」
「あぁそうだ。きっとお前が、術を解かないからだ」
藤の文様が消えなかったのは、きっと彼女が術をかけ続けていたからだ。
「もう、充分に長生きした。だからもう、大丈夫だ……」
「そう、ですか?それなら……一緒に休みましょう?」
白藤の頬がひび割れていく。
彼女も限界だったのだろう。
「こうして、二人で居らるのはいつぶりでしょう?……嬉しい、です……」
「あぁ、そうだな。お前はあの頃と変わらないままだ」
『不変』という言葉は彼女にこそ相応しいのだと気づく。
「義勇さん……手を、繋いでも……良いですか……?」
「あぁ」
「温かいです、義勇さんの……優しい手……」
「硬くて無骨な手。の間違いだろう?」
「いいえ。いつも、私の髪を優しく撫でてくれる、大好きな手です……」
そう、言われて涙が溢れた。