第75章 君と二人で永遠(とわ)に眠るる
そうか、俺は……
本当はずっとこの時を待ち続けていたのかもしれない。
「白藤……愛してる」
「義勇さん……私も……貴方を……愛して……」
寄り添って、二人は手を繋いだまま眠りにつく。
その顔はとても幸せそうで、心から安らいでいるように見えた。
一日経ってから、勇輝哉が義勇の様子を見に来て眉を顰(ひそ)めた。
母であるくいなから事の経緯は聞いている。
二人が恋仲であったこと。
二人にしか分からない思いがあること。
でも、勇輝哉にとってはくいなが母で。
父の横に居る女性が母ではない事がどうしてか納得出来なくて……
けれども、こんなに穏やかな顔で眠る冨岡を恨むことも出来なくて……
「父上。貴方は卑怯だ……」
勇輝哉の言葉は頬に伝う涙と共にこぼれ落ちていく。
ー了ー