第16章 御館様との逢瀬$
産屋敷邸にて。
「御館様、定期治療に参りました」
「ああ、いつも済まないね」
私は月に二回ほど御館様の御座す本邸へ出向く。
治療という名目で、私は代々御館様となられた産屋敷の御当主に抱かれるのだ。
「いいえ、私にも利がありますから」
家人たちも、私が出入りをする時は極力人払いをしてくれるので、要らぬ労力はさほど無い。
「父上、お呼びですか?」
「ああ、来たね。輝利哉」
耀哉様のお部屋に直接出入り出来るのは、本妻のあまね様とご子息一同、それに私である。
柱の皆様は庭か会合のための執務室に通される。
その為、輝利哉様と顔合わせをするのは初めてのことだった。
「ご子息様ですね。お初にお目にかかります。私は白藤と申します」
恭しく、頭を下げる白藤。
「白藤様」
「敬称は必要ございませんよ。私は鬼ですから」
「鬼っ!?」
「正確には半人半鬼ですが」
本邸に鬼を招くとは?
と疑問を持っているのが表情に出ている輝利哉様を尻目に。
「父上……?」
「うん、いい機会だから白藤に指南してもらおうと思ってね」
「指南と言いますと?」