第3章 藤の花屋敷の鬼女$(冨岡裏)
$$$
「ふふ。これで、冨岡さんも立派な殿方の仲間入りですね」
肌を寄せ合い、二人で布団に入る。
「もし、甘露寺様や胡蝶様とすることがあったらくれぐれも酷くなさらず、優しくして差し上げて下さいね……」
相性が悪くなかった分、少々惜しい気もする。
「何故、甘露寺と胡蝶が出てくるんだ?」
「それは……こちらに通いつめて頂けるということですか?」
療養に通ってくれるならば、こちらとしては申し分は無い。
「それは…」
口篭る所がいかにもおぼこな印象で。
「ふふ。分かってますよ、期待しないでお待ちしてます」
こちらも何故か女郎にでもなった心地がする。
「……そうか」
「ええ」
他にはあまり、言葉を交わさなかったが。
いつになく、心地の良い一夜だった。
$$$
夕暮れ刻。
さて、今日は蝶屋敷に薬を取りに行かなくては。
あれは?