第73章 乞い願う、光を求めて
「義勇さん。今までありがとうございました。愛してくれて……嬉しかった……」
「白藤!?」
ぼろぼろと彼女の皮膚が灼けていく。
「駄目だ!だめ……逝かないでくれ……」
冨岡は白藤に陽が当たらないように羽織で隠そうとする。
「お別れですね。でも、大丈夫……私はずっと……貴方の傍に……」
「白藤!?」
彼女の体が光に包まれる。
このまま……灰に……
「灰になるには、まだ早いですよ……」
「胡蝶!?」
いつの間に、ここまで……
「話は後です。今はこの薬を……!!」
胡蝶が白藤の背中に薬を注射する。
注射の中身は無惨に使用したのと同じ、人間に戻る薬。
「間に合え!!」
胡蝶が珍しく声を荒げる。
白藤を抱いたままの腕に力が入る。
頼む、戻って来てくれ……
「白藤!!」