第73章 乞い願う、光を求めて
「貴方まで!こちら側に、堕ちてはいけません!!」
「……白藤?」
何とか手が届いた冨岡を掻き抱いて、白藤は乞う。
「お願い……鬼にならないで……」
貴方は、人のままでいて……
「そんな馬鹿げた妄執の戯言(たわごと)を聞いてはいけませんよ……」
「何故?」
何故、甘言に惑わされていると分かる……?
冨岡の戸惑う視線を受けながら、白藤は続ける。
「貴方には……月の下ではなく、陽の下を歩いて欲しい」
「俺は……お前とならば……!!」
「嬉しい……でも駄目。だって……この城から出たら……」
外は恐らく夜が明けている。
私は炭治郎君達のように陽光に耐性が無い。
私は灼けて、灰になるだろう。
あぁ、ほら。
無限城の向こう側から、光が差し込んでくる。
私に残された時間は、もう後僅かだ。