第73章 乞い願う、光を求めて
待ちに待っていた絶望を前にして、怨念の塊と化した道満が疲弊した冨岡に問いかける。
望め、その身を代償にして叶えてやる。
願え、一時の夢を見せてやる。
意識を閉じよ、其方の代わりに私が見聞きする。
案ずるな、全て上手くいく。
冨岡の周りに生暖かい、妙な風が吹いている。
「冨岡ァ!!」
声を上げながら、冨岡の羽織の首根っこを掴みあげたのは以外にも、不死川であった。
「しっかりしやがれ!腰抜けがァ!!白藤を守るっつったのは、何処のどいつだァ!!」
「………不死川……」
「腑抜けた面見せんじゃねぇ!!」
「不死川様!!」
「白藤!!この馬鹿何とかしやがれ!!」
「義勇さん!手を……!!」
冨岡に向けて、真っ直ぐに手を伸ばす。