第73章 乞い願う、光を求めて
宇髄が指差す方向に冨岡を見つける。
目をこらせば、確かに冨岡が脱力しているようにも見える。
「義勇さん!」
こんな別れ方は絶対に嫌です!!
「義勇さん!!」
何も、聞こえない。
いや、聞きたくないんだ。
俺は白藤の大切な人ばかり殺し続けて、彼女を傷つけてばかりいる……
上弦の壱、黒死牟はかつての想い人。
鬼の始祖、鬼舞辻無惨は彼女が付き従っていた屋敷の主人。
二人とも、俺が殺めた。
こんな俺が、白藤を幸せにする事など出来るのだろうか……
虚ろな瞳で虚空を見つめる。
『何を、望む?』
問いが聞こえる。
『何が、欲しい?』
何も要らない……ただ、虚しい……
悲しみで胸が押し潰れそうになる。