第73章 乞い願う、光を求めて
「そうか……」
冨岡はそう言って彼女の横をすり抜けた。
次の瞬間。
ガラガラと音を立てて、無限城が崩壊を始める。
無惨も鳴女も居ない今、その昨日を失っていくのである。
分断されていく通路。
遊郭を思わせる行灯の光も立ち消え、辺りが暗闇に包まれる。
無限城に招かれた時と同様に足下の床が崩落し、隊士達は外へと吐き出されていく。
柱達と白藤は中央の広間に居たため、他よりも少しだけ遅れて崩落が開始した。
「きゃっ!!」
ふらつき、倒れ込みそうになった白藤は、力強い腕に支えられた。
「おっと……」
「宇髄様……」
「冨岡は?」
「先程離れてしまって……」
「はぁ?信じらんねぇ……ちょっと待て、自分から落ちて行ってねぇか、彼奴」
「え……!?」