第73章 乞い願う、光を求めて
『蘆屋道満』
『安倍晴明』と同様に語り継がれる歴史に名を残した陰陽師である。
二人は何故か、いつも光と闇といった関係性で描かれる。
華々しい戦績をあげる安倍晴明。
一方、晴明に敗れ、苦渋を舐め続ける蘆屋道満。
両者とも京の都を守護する役職にも関わらず、後々対立することになるこの二人を。
『狐と狸』と揶揄(やゆ)した者までいる。
役職が全ての時代だったこともあり、播磨国より出てきた地方出身者の蘆屋道満が貴族に恩を売るには厳しい世の中であった。
だが、道満は知っていた。
出世する者がいれば、排斥される貴族がいることを。
だから、いつも道満は弱者の側に着いた。
付け入る隙が多いからだ。
この狡猾さこそが、蘆屋道満がこの京の都で培った生き方である。