第73章 乞い願う、光を求めて
無惨に会ったのは、蘆屋道満が齢四十を越えた頃だった。
巷では『道摩法師』と呼ばれていた道満は、無惨に声をかけられるなり、こう言った。
「何を、望まれますか?」
「一人しかいない屋敷使いの女房の体が具合が悪い。貴殿であれば対応出来るかもしれないと言われた……」
「なるほど、病の平癒ですか。しがない私には、貴方のお体の方が心配なように見えますが……」
道満の見透かすような瞳が薄気味悪くて。
「先が長くないのは、分かっている……」
「左様でしたか。私は田舎者ですゆえ、皆様のお名前がすぐ出ず……何と仰いましたか?」
「産屋敷舞山だ」
「産屋敷殿……あー、はいはい。では貴方がお噂の美男薄命」