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鬼滅の刃R18 藤の花嫁

第76章 違えし縁


その顔を思い出し、舞山は震えた。


嫌だ。


昨夜のようなことがまた起こるなど、おぞましいにも程がある。


とにかくここから立ち去らねば……


人の声が周囲からしないということは、ここは恐らく右京で間違いないだろう。


内裏のある左京と違い、賑わいも物流も無い。


宛もなく歩いた舞山が辿り着いたのは、一軒のあばら家。


つんと鼻に付くような臭いがした。


廃れた家屋。


あちこちに穴が開き、鼠が出入りしている。


新しいように見える家具が幾つかあるところを見ると、どうやら誰かが最近まで使っていたのだろう。


部屋に衣装があれば、それに着替えたい。


舞山はあばら家の中を歩き回った。


運良く籠を見つけた舞山は中から狩衣を取り出す。


貴族の装いからは程遠いが、無いよりはましである。

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