第72章 向かう白、揺蕩う藤色
「貴方は?」
自分とも禰豆子とも違う雰囲気の彼女に珠世は思わず声をかけた。
「私は白藤と申します。半人半鬼の身の上ですが、縁あって鬼殺隊と行動しています」
半人半鬼。
禰豆子といい、白藤といい、今までに見たことの無い鬼を見て、珠世は驚くと同時に何かの変化の兆しを感じた。
「酷い怪我……治療を」
「構いません。私も鬼ですから、その内治ります」
「ですが……」
先程まで、珠世は無惨と繋がっていた。
正確には、無惨が珠世を捉えていたのだが、それを逆手にとった彼女によって無惨は毒を打ち込まれた。
打ち込んだ毒が珠世に回っている可能性も無いとは言えない。
「ところで先程打ち込んだ毒はどのような物だったのですか?」
「無惨に打ち込んだのは、分裂阻害の薬です」
「以前にも追い込まれた無惨は分裂して逃げおおせていますから。先手を打ちました」