第76章 違えし縁
結果は舞山の名を称える者ばかりで、同僚達との溝は増々深まっていった。
舞山の名は清涼殿にまでも響いたらしく、宮仕えの女房たちからの恋文が届くまでになると、舞山への嫉妬を募らせた者たちが彼を表舞台から引きずり下ろすべく、ある宴が催された。
酒に毒を盛るというのは昔からある話だが、宴の席で殺しは穢れの原因となる。
ならば毒ではなく、薬を盛ろう。
という、算段で同僚達は策をめぐらせた。
眠り薬では面白くない。
痺れ薬を飲ませて殴るのは、痛みで覚えられてはこちらも危うい。
殺しても不味い。
ならば、あの色男に媚薬を盛ろう。
だが、女を抱かせるのは鼻持ちならない。
そうだ、好色な男を連れてこよう。
産屋敷の顔は女人のように整っているから、抱く側も満足するだろう。
同僚達の意見はそれで纏まったのである。