第76章 違えし縁
生きている事が億劫な筈なのに、それでも彼女からは離れがたくて……
浅ましい……
なんと、醜悪な感情なのだろう。
病を治すと豪語した薬師の言うがままに、薬を飲み続けたが、改善の兆しは無かった。
縋る思いで陰陽師に頼み込み、祈祷も行った。
月日だけが過ぎていく中で、彼女が倒れてしまった。
ある頃から手ぬぐいを手放さなくなった彼女の髪は知らぬ内に白く染まっており、発熱で身体も動かぬようだった。
普段自分で歩くのさえ精一杯であるはずなのに、彼女を抱えることが出来たのはもはや奇跡に近かった。
汗ばむ体に浅い吐息。
舞山にはその症状に覚えがあった。